職場では課長や主任に就任している、又は役職の代利として就任しているスタッフは仕事ぶりも優秀だし、ケアマネ試験を受ければ合格するだろう…
上司に買われるスタッフは、それだけ上司からの信頼も厚いし、優秀な人材として見られています。
ここ最近のケアマネ試験の合格率は20%を切る程、難関な資格になっています。
私が介護施設で働いていた当時、ケアマネ試験を受けたスタッフは結構多かったのですが、合格した人、合格出来なかった人を見ると、それぞれのグループに特徴があるなぁ…と思っています。
福祉の世界は柵が強い
福祉の世界は介護保険制度が導入されてから、何かと面倒なことが多くなりました。
これは診療報酬制度に対しても言えることですが、とにかく条件を満たさないと報酬の対象にならないからです。
ケアマネの実務研修や更新研修では、当然ながら介護保険についての講義があります。
ここで謳っているのは尊厳の保持や住み慣れた地域で自分らしくといったもの。
決してこの内容が悪いというわけではありません。
施設に入所されている利用者様の多くが「家に帰りたい」と訴えているのは事実です。
しかし、現実となると…自宅で当人を介護することに無理があるのが大半のケース。
同居家族がいない、老々介護、子供や嫁は会社働きをしないと生計を立てられない、家族(親族)間の複雑な関係が絡む等、様々な理由で本人が望むように自宅で暮らすことが困難になっています。
特に要介護度が重くなればなるほど自宅での介護が困難になります。
このような事情から、利用者様の尊厳の保持が100%叶いません。
施設に入所すると、キーパーソンより直接介護にあたるスタッフと接する時間の方が遥かに長くなります。
そのスタッフ達も、介護保険制度をはじめとするあらゆる法律の下で動くとともに、施設の方針の下で動いています。
この介護保険制度を上手く汲み取って出来るだけベストを尽くすのならともかく、この世界にお局的存在がいると、お局独自の考えによってねじ伏せられます。
場合によっては馬鹿の一つ覚えみたいに「尊厳の保持」という言葉を乱用して、無理難題を押し付けることだってあるのです。
どう考えても理不尽なことなのに、この理不尽なことを筋が通っているかのように見せかけて弾圧をかけます。
これに従うスタッフもいれば、反発するスタッフもいます。
この中で出世するのは、この理不尽な方法に従うスタッフ達。
そのうち「課長」「主任」という役職が付けられ、施設内では一目置かれる存在となります。
この人達は、当該施設では優秀な人材として見られるようになります。
ケアマネ試験に挑戦するものの…
過去にケアマネ試験を受験したメンバーの中で、誰が合格して誰が合格出来なかったのか、何かと情報が入るのですが、合格出来なかった人には何等かの共通点があります。
それは…
長い物に巻かれろという考え。
所謂洗脳された人。
仕事に対しどのような価値観を持っているのかというと…
- とにかく事細かく分析して理屈を並べることが好き
- 常に考え方は後ろ向きであり、建設的な思考がない
- 事務的で仏頂面な介護業務を行っている
- 自己中心的(自分さえ良ければいい)
- 利用者に平等に接することが出来ない
- 人の悪口が多い
- 謙虚さがなく態度が横柄
- 自分の職場の方法が一番正しいと思い込んでいる
一方、合格した人は、このような視野狭窄を起こしていないのです。
当該職場のやり方だけに捉われず、井戸の外も眺めて本質を見極めることが出来ています。
ケアマネ試験は合格率が低く難しいから、勉強が出来ないと受からないというイメージもあるかもしれませんが、これは仕事に対する価値観が合否を左右しているのかと思うんです。
介護福祉士は全員不合格
これは介護福祉士をアホと言っているわけではないので誤解しないように!
私がケアマネを受験した時、当該施設で合格したのは私だけだったのです。
この施設はブラック企業であり、トップはダメダメな職場。
この時の施設長の言葉が「介護がみんな(試験に)落ちて、何で栄養士が合格するんだ?」と。
知りまっしぇーん!ですよ!
私が受験した年も沢山の介護スタッフがケアマネ試験を受けていたんです。
しかし、その顔触れを見る限り、この職場の方針に洗脳された人ばかり。
一方、私はこの施設の考え方は「おかしくね?」と思っていたのです。
だってね…介護保険法で謳っていることと比べると、随分ずれた介護を行っているし、利用者と心のコンタクトが取れていないべ…
その前に合格した介護スタッフを見ると、その人達も当該施設の方法に反感を持っている人ばかりだったんです。
過去の合格者の中にはクーデターを起こした人がいる
先述したように、当該施設はブラック企業。
介護スタッフは約一時間のサービス残業が当たり前。
しかも、職員の定着が非常に悪いため、有給休暇が使える状況ではありません。
上層部は部署によって対応を変える為、気に入らない部署に対しては…
こんな有様です。
当時の入所条件は要介護1、2も対象となっていた時代ですが、当該施設は近隣の施設に比べると重度な方の割合が多かったのでした。
入浴方法に「個浴」があります。
この「個浴」とは、所謂、自分達のような身体に不自由がない人が入る入浴方法のこと。
高齢者で言うと要支援や要介護度が軽い場合が対象となる入浴方法なんですが、この「個浴」を要介護度4(7段階の介護度の中で2番目に重度)の方に施行するという有様。
これを慣れないスタッフに無理矢理やらせ、上手く出来なければ課長が怒鳴りつけます。
職員もピリピリしているし、職員同士の不協和音の中にいる利用者は不穏状態を起こしてしまいます。
細かくて口煩くて楽しく仕事が出来ないということに不平不満を持ったスタッフ達が、施設長に物申そうとばかりに起こしたのがクーデターでした。
そのクーデターの首謀者はケアマネを取得した男性スタッフ。
この男性スタッフは、このろくでもない役職軍団と真逆の価値観を持っているスタッフでした。
利用者への当たりも良く、スタッフには平らに接することが出来、その場を明るく盛り上げてくれるタイプでした。
挨拶も徹底しているし、安心する存在でした。
こういう人に介護課の課長になってもらいたいと思っていたし、クーデターを起こしたことに関しては「出かした!」と思わんばかりでした。
施設長に言いたい放題言って、少しでも改善されれば…と切実でしたが…
(まるで今のK政権のようです)
数日後、彼から「僕、退職します」とのこと。
これは、とても残念なことでした。
また、良心的なスタッフが去って行く…
彼は新天地でケアマネとして再スタートを切ったのです。
今はどうなっているのかは分からないけど、きっと利用者様から信頼出来るケアマネになっているのではないかと。
まとめ
介護支援専門員を取得するのであれば、介護保険制度や医療に関する基礎知識等を知っておかなければなりませんが、合否を左右するのはその人の価値観が大きいでしょう。
理不尽な経営陣への適応力がある人程洗脳されやすく、その誤った価値観が本来取り入れる知識をブロックします。
「自分は立派な大人だ」と思い込んでいる間は、脳が凝り固まっている状態。
介護支援専門員を取得している人の全てが素晴らしいわけでもなく、中にはクソみたいな人もいます。
ただ、介護支援専門員は決して偉いわけではありません。
己を律し、多職種間とのコーディネートを行える程の人間性がないと、ただの天狗に過ぎませんから。