食に関わる民間資格は数多くあります。
その中でもフードコーディネーターは、ロングセラーな民間資格で一目置かれやすいと言えるでしょう。
調理関係の求人を見ていると、フードサービス業の中で時々フードコーディネーターの求人を見かけます。
なんて悩むかもしれませんが、取得するかどうかはあなた自身が決めることです。
フードコーディネーターの定義って?
フードコーディネーターってどのような仕事をしているのか…というと、活躍している人によってその資格の活かし方は様々なので、一言で括ることは難しいです。
日本フードコーディネーター協会では、フードコーディネーターを、『新しい食の「ブランド」「トレンド」を創る 食の「開発」「演出」「運営」のクリエーター』と定義しています。
フードコーディネーター有資格者の多くがこれらに仕事に携わり、まざまな分野のスペシャリストと連携・協力し、新たな食生活・食ビジネスの創造・改善を提案しています。
調理師、栄養士、製菓衛生士、ソムリエなど食に携わる専門職の他にも、デザイン、スタイリング、メディア関連など食と間接的に関わっている方や、食には特に携わってはいないけど食の分野に興味を持っている方等、有資格者の層は幅広いです。
フードコーディネーターはどのように活躍しているのかというと、以下のものが挙げられます。
- 飲食店のプロデュース
- メニュー開発
- レシピ本の開発
- 食育
- 食器のデザインの考案
- 食のメディア関連
- 店舗デザイン
- スタイリング
- 地産地消プログラム…等
フードコーディネーターは会社に雇われてサラリーマンとして活躍するよりも、フリーランスで働いている方の方が多く見られます。
たまに、フードサービス業にて調理師と同じ位置づけとしてフードコーディネーターを募集する企業もあります。
フードコーディネーターはイメージアップを図れる
フードコーディネーターというと華やかなイメージがあります。
栄養士と調理師を比べると、どうしても栄養士は冴えない印象…
所持資格が栄養士だけの場合、「料理が出来ない」「マニュアル通りの仕事しかできない」「事務的」という、ちょっと暗いイメージを持たれます。
栄養士にフードコーディネーターの資格が加わると「レシピの開発が得意」「食をお洒落に演出出来る」「美的センスがある」という華やかなイメージを持たれます。
でもね、フードコーディネーターを持っているからといって華やかなイメージを持たれるだけでは駄目ですよ!
ってところですが、フードコーディネーターとして本物の力を身に付けるのなら、栄養士や調理師としての経験やそれに見合ったスキルとともに、フードコーディネーターとしての知識が備わってこそ本物に一歩近づけられるでしょう。
フードコーディネーター=栄養士ではない
フードコーディネーターをよく知らない栄養士や調理師からしたら、フードコーディネータは従来のスキルがあれば十分て思われるかもしれませんが…?
決してそうではありません。
フードコーディネーターは1級から3級に分けられています。
栄養士や調理師だけのスキルで十分となると3級と同然のレベルで十分ということになります。
かくいう私もそうだったのですが、フードコーディネーターというと…フードコーディネーターを知った当初は以下のイメージを持っていました。
- 見た目華やかなレシピの開発(食をデザインする)
- 食と器をコーディネートする
- 食と空間をコーディネートする
しかし、これはあくまでも外面上の話。
忘れてはならないのは投資計画や収支計画、原価計算や損益計算といったお金に携わるスキルも求められていることです。
店舗計画、店舗プロデュースとなれば必ずこれらの業務は必須となってきます。
なので、フードサービス業におけるお金のスキルを磨きたいのであれば、2級の知識が必須となってくるのです。
店舗運営に関わる原価管理の内容は工業簿記の知識と内容が近いので、飲食店のプロデュースに関わりたいのなら簿記の勉強をして損をすることはありません。
更にこれらに加えて商品開発となると、マーケティング力がものを言うのです。
マーケティングには4P論や4C論、9F論など様々な機能論があります。
しかし、これらはあくまでもメーカー主体としたもの。
飲食店におけるマーケティング機能は何かというと次のものが挙げられます。
- 調査
- 顧客管理
- 商品、サービス
- 従業員教育
- 営業
- 宣伝、広告
- 販売促進
- 店舗空間
- 演出
- 値付け
- 情報
病院や施設に勤務する管理栄養士であれば「嗜好調査」を行ったことがありますよね?
あれも一つのマーケティングなのです。
なので、「ただの監査対策」のための書類作成だと侮らないで下さいね。
但し、病院では食事の一番の基幹となるところは治療となるので、中々フードサービスの観点におけるマーケティングが100%こなせるわけではありません。
でも、患者様がどのような献立を好むのか、どの料理が食べにくかったのかを生の声で聞けるので、改善して質の向上に努めることが出来ます。
しかし、飲食業となると病院のように制約はないものの、病院や施設のような固定客を相手にしているわけではありませんので、立地条件から見る顧客の層、周辺地の人口動態を把握することを自ら行います。
データに基づき、ターゲットとする対象がどのようなサービス(商品)を求めているのか…
様々なツールを用いて調査します。
とは言っても、今はインターネットでかなりの情報が入手出来るようになったので、だいぶ便利になりましたよ。
ここは、ある程度固定客がいる病院や施設と大きな違うところだということを理解していただければと思います。
フードコーディネーターになるには?
フードコーディネーターは1~3級に分かれています。
いきなり1級から取ることは出来ないので、3級から試験を受けて2級、1級の順に取得します。
2級、3級は難易度が高くありませんが、1級はマークシート方式は行わずレポート作成となる為、専門的かつ実践的なものとなります。
1級に合格したということは「食のプロフェッショナル」として認められた証となります。
1級認定登録する場合は、日本フードコーディネーター協会の会員登録が必須です。
3級
受験資格…制限なし
3級試験ではフードコーディネーターとしての「食」に関する幅広い知識を取得することが求められます。
《試験科目》
- デザイン・アート
- 経済・経営
- 文化
- 科学
調理師・栄養士・管理栄養士・製菓衛生師のいずれかの資格保持者は、「文化」「科学」が免除されます。
2級
受験資格…フードコーディネーター3級合格者
2級試験ではフードビジネスに関わる専門知識と企画力を習得する能力が問われます。
《1次試験試験科目》
- 食市場の動向とマーケティング
- レストランプロデュース
- 商品開発
- ホスピタリティと食生活のサポート
- 食の表現と演出
- フードプロモーション
- 企画書作成の実際
《2次試験について》
- 食市場の動向とマーケティング
- レストランプロデュース
- 商品開発
- フードプロモーション
上記の3科目の中から1科目を選択して2級2次資格認定講座を受講します。
1級
受験資格…フードコーディネーター2級合格者
但し、2級2次試験合格分野に限る。
1級資格認定試験では、プロとして活躍するに足る実践的な知識と技術を試します。
各分野のスペシャリストとの共同作業の中で、問題と解決法を見出し、的確な方向性を示す能力が求められます。
《1次試験試験科目》
- レストランプロデュース
- 商品開発
- フードプロモーション
これらの科目から1分野選択(2級2次合格分野に限る)し、期間内にプレゼンテーション資料作成及び必要書類の作成を行い、出来上がったものは日本フードコーディネーター協会に郵送します。
《2次試験について》
1次試験の課題に基づいたプレゼンテーションを行います。
詳しくは…日本フードコーディネーター協会
フードコーディネーターを取得するのなら1級がお勧め
フードコーディネーターの2級、3級はそれほどハードルは高くありません。
3級はフードコーディネーターとしての登竜門、2級は基本として位置づけられています。
食のプロフェッショナルとして認められたいという意向があるのなら、1級を取得していると心強いものです。
しかし、1級を取得する試験を合格することの他にも、フードコーディネーター協会の会員になることも条件となっています。
そのためには年間費を払うこととなるので、自分にとって本当に必要かどうかを判断してみましょう。
1級試験は2級や3級とは勝手が違います。
1次試験の資料や2次試験のプレゼンテーションにおいて、厳密な審査が行われます。
試験の内容の中には、今までの知識やスキルが活かせる部分がある一方、苦手な分野にも遭遇します。
そのプレゼンテーションの内容は、対価を頂けるほどのものを考案する位の覚悟で臨む必要があります。
厳しい道のりですが、合格すれば協会から「プロ」として認められた証。
1級は実技試験のようなものなので、無事、合格すれば実力者としての認められることとなります。
まとめ
フードコーディネーターを取得するかどうかはあなた自身の判断です。
お金がかかるし必要ないと思えば必要性はないと思いますし、自分にないものを身に付けたいと思えば目指してみても良いと思います。
食に関わる資格が「栄養士」だけでは地味な印象があるものの、フードコーディネーターを取得していると、イメージアップを図れます。
しかし、資格は飾りではありません。
フードコーディネーターを取得したのなら、食に携わる情報は自ら足を運んで収集する努力をしましょうね。