よく給食委託会社は施設側の職員より立場が弱いと言われていますが、最近はそうでもありません。
寧ろ給食委託会社の方が施設の管理栄養士に高圧的に出ることもあります。
しかも、管理栄養士が正当性をもって委託会社に注意喚起しても、委託会社は一切言うことを聞かなくて管理栄養士を悩ませているケースは決して少なくありません。
管理栄養士が栄養士であるあなたを退職に追い込ませているのか?というと…
結論を言ってしまえば、必ずしもそうではないのです。
事業所は委託会社にお金を払って業務を依頼している
事業者側は新規で給食委託会社と契約する時や委託会社を変更する時に、事業所側と委託会社の業務分担及び管理費について委託会社と商談します。
委託会社が担う業務は調理業務や給食業務といったフードサービスとなり、委託会社は事業所からお金を頂いている以上、フードサービスを責任もって行うということで約束します。
更にフードサービスを細かく言うと、調理業務は、調理業務全般を指し、病院であれば一般食から治療食、とにかく調理に携わるものは給食委託会社が担います。
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施設や病院など高齢者の多い事業所では嚥下困難者向けのお茶ゼリーの調理にも携わり、施設のようなおやつが必要な場合は手作りであっても既製品であっても、おやつの準備に携わります。
食材注文、検品等の給食に関わる帳票類は委託側が担当しています。
献立表は委託会社で作成したベーシックなものがあり、病院では治療食も展開してあります(契約によっては病院や施設の管理栄養士が献立作成に携わる場合もあり)。
これは人手不足に備え、委託会社の栄養士の負担を出来るだけ軽減出来るように予め作ってあります。
今ではどの給食会社も栄養計算ソフトを導入しているので、献立さえ入力すれば食材注文に関する書類もPC処理によって短時間で作成出来るのです。
更に発注書と検収簿(食材納品時に温度や鮮度、消費期限を調べて記録を残すための書類)をセットにして書類作成し、検品作業の効率化を図ります。
また、献立が入力されていることによって、栄養出納や食料構成の書類はワンクリックで作成可能です。
また、1996年のO157発生以降、衛生管理に関する書類作成が必須となっています。
衛生管理に係る書類には…
- 検収簿
- 加熱料理の中心温度の記録
- 冷蔵庫・冷凍庫の温度記録
- 衛生管理チェック(全体及び個人)
- 検便検査の記録
- 納品食材の検査表
- 納入業者の細菌検査の記録など
これが給食委託会社と事業所との関わりが平衡を保たれているのなら、特に問題はありません。
委託会社の人事権は委託会社が持っている
給食委託会社には色んな人が入社されます。
「食のプロ」という人も中にはいますが、本当に熟練した人はほんの一握りです。
現場のスタッフの大半はパートであり、そこに配属されている社員(栄養士、調理師)が必ずしも熟練しているとは限りません。
それ以上に厄介なのは、「?」と思うスタッフや癖のあるスタッフが入社することがあります。
委託会社の人事権は委託会社のものなので、事業所側が口出す権利がありません。
最悪の場合、病院であれば患者様、施設であれば利用者様にしわ寄せがいってしまうことがあります。
勤務シフトの関係により、無資格のパートスタッフしか出勤していない場面もあります。
ホントにこれでいいの?って思うのですが…
委託会社のスタッフの質が低いとしわ寄せを受けるのはお客様
無資格者のパートスタッフ同士でシフトを組まれた場合、インシデントを起こしやすくなります。
それには「知識不足」や「責任の薄さ」の問題も絡んでくるでしょう。
施設や病院の食事は本来、治療食の知識を活かす必要がある場です。
特に病院では必ずといっていい程、治療食のオーダーがあり、糖尿食、減塩の他に蛋白制限、脂肪制限、低残渣、貧血等の指示に応えて食事提供をしていきます。
- 糖尿食
- 心臓高血圧食
- 腎臓食
- 肝臓食
- 胆嚢食
- 潰瘍食…等
- エネルギー制限食
- 糖質制限食食
- 塩分制限食
- 蛋白制限食
- 高蛋白食
- 脂肪制限食
- 易消化食…等
これが無資格のパートスタッフの場合、このような指示を出されても的確に判断して動くことが出来ないことが往々にしてあるのです。
例えば、膵臓が悪くて脂肪制限の指示が出されているにも関わらず、脂肪分の多い鯖を提供したり、腎不全により蛋白制限が必要にも関わらず、蛋白質の副菜を一般食と同じ量で出してしまうこともあります。
この場合、事業所側がフェアであれば委託会社側に問題があると判断し、トップ(院長、事務長、施設長等)が委託会社に注意勧告をします。
あまりにも酷い場合は、その委託会社との契約を切りますって判断されるでしょう。
厨房内部の黒い事情
給食委託会社には色んな人がいることから、事業所によって人間関係に大幅な差が出ます。
人間関係が良好であれば、ある程度長い間働き続けることが出来ますが、人間関係が悪いと退職者も続出し、人出不足を招いてしまいます。
人間関係の劣悪さによる退職者の続出は給食委託会社に限ったことではありませんが、人出不足が起こってしまうと冒頭で述べたような、サービス残業や休日出勤、休日中の会社からの電話が絶えなくなります。
また、給食委託会社の現場の組織は、栄養士の資格を持ったスタッフが責任者になっているケースが多く、若くて経験が浅くても責任者をやらされるため、精神的な重圧を抱えます。
これが人柄の良いパートスタッフのもとで責任者をやっているのならそれほど問題はないのですが、癖のあるパートスタッフの場合だと栄養士に対して憎しみや妬みの感情を持って嫌がらせをします。
発注等のデスクワークは大抵栄養士が担っており、デスクワークをしているのを見ると「暇そう」だの「勉強している」だの罵ります。
人間関係が悪ければ、その事業所のスタッフの定着は悪くなり、常に人手不足問題が深刻化します。
このスタッフ不足が原因で栄養士が調理現場に入る時間が多くなり、事務作業をするとなると長時間に及ぶ残業又は仕事を家に持ち帰らないと発注が遅れるということもあります。
この精神的にも肉体的にもハードな環境によって心身共に蝕んでしまいます。
唯一の救いは、どんなにインシデントやアクシデントを起こしても、事業所専属の口煩いスタッフから直接怒鳴りつけらずに済むことです。
しっかりやってもらわないと…
このような背景がブラック企業のレッテルを貼られる原因となっています。
管理栄養士もストレスフル
委託会社の栄養士からしてみると「管理栄養士は幸せいっぱい」に見えるかもしれませんが…
というのが委託会社の栄養士の言い分。
しかし、管理栄養士の板挟みもキツイものです。
それは事業所(病院や施設)と委託会社という2つの会社のパイプ役を務めているからです。
事業所内の人間関係も様々で、人間関係の良好なところならそれほどストレスはかからないものの、人間関係が劣悪だと部署内や部署同士の確執が酷く、お互いがお互いの粗探しをしているようなもの。
おまけに給食委託会社が管理栄養士の悩みの種にもなっているのです。
言うこと聞いてくれなくて…
管理栄養士が委託会社に怒りを持つパターンは幾つかあるのですが…
- 現場から強く口調で注意されて、そのイライラをぶつけている
- 委託会社の栄養士に何度も注意しても言うことを聞いてくれなくてイライラする
- 家庭のストレスをぶつけている…等
しかも食事内容が不適切だと、現場からの怒りの声は委託会社ではなく管理栄養士の方にぶつけられるので、委託会社の不祥事によって管理栄養士が看護師に怒鳴りつけられることは少なくありません。
ただ、委託会社の栄養士に管理栄養士がつらく当たるのは管理栄養士にも原因があります。
- マネジメント能力不足
- 自己管理能力不足
- 管理栄養士自身がコンプレックスの持ち主で、弱い者をいたぶることによって優越感に浸るというタイプというケース
その事業所のスタッフがろくでもないということは、その事業所そのものも癖があるのでしょう。
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パワハラの真の黒幕は…?
給食委託会社は事業所との関係も絡んできます。
給食業務を委託化する理由の一つとして、厨房業務を委託化して全て事業所側の思うように利用しようと企んでいるケースもあります。
元はと言えば、その事業所のトップもしくは影の権力者が、栄養部門を日常的に差別していて、これまで働いていた栄養部門のスタッフを切り捨てる為に業務委託化したケースです。
病院や福祉施設というと、スタッフが人間的に優れているイメージもあるかと思います。
確かに臨床現場において多職種連携のもと、患者様の病態に向き合いながらチーム一丸となって医療を提供している病院もあります。
ところが、案外上層部が劣悪な病院や施設があるもの現実です。
これは一般企業も同様ですが、必ずブラック企業には癌細胞の中核的な存在があり、お局だの色んな呼び方があります。
このような人は立派なモンスターなのです。
事業所側の管理栄養士が給食委託会社をパワハラをする説が多いのですが、実際加害者となっているのは、看護師、介護士、その他現場経験上がりのケアマネや生活相談員の中に潜み、栄養部門に著しい攻撃を仕掛けてくるスタッフがそのモンスターに該当しているというのが真実です。
そのモンスターと言われるスタッフは、当職場において強い発言権を持っており、立場にも関わらず当職場の最高責任者よりも強い力を持っています。
但し、事業所によっては、その癌細胞の中核と管理栄養士の関係は決して悪くなく、管理栄養士が委託会社のスタッフ虐めに加担しているケースもないわけではありません。
このようなケースだと管理栄養士がパワハラしているのは完全に否めません。
スタッフ虐めに管理栄養士が加担しているのであるのなら「板挟み」の苦しみは殆ど味わっていない筈。
ただ、お局が管理栄養士を目の敵にして叩き潰すケースもあります。
このようなシチュエーションの場合、管理栄養士は自分の職場と委託会社の板挟みになるので、その苦労はだだものではないのですよ。
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給食委託会社には色んなスタッフもいて人間関係も様々ですが、割と人間関係が良好で、スタッフのレベルも決して悪くない場合もあります。
それにも関わらず事業者側がモンスターの場合、給食会議の際に粗探しをした内容を喧嘩腰になって発言し、理不尽な業務改善命令を下します。
その為、給食委託会社は事業者の従業員の中のモンスターに心を痛め、精神的苦痛を与えられます。
とにかくそのモンスターに怯えながら業務を行うので、委託会社の人間関係に問題がなくとも、その職場を離れてしまいます。
当然このような状況では、良いスタッフが次々と離れてしまい人手不足となってしまいます。
更に、この事業者側のモンスター職員は理不尽な仕事を押し付けるので、非常にきついノルマを課せられます。
委託業者に問題があるわけではないのに、無駄な業務量が増えてしまい、休憩時間は取れず、定時前出勤や残業をしないと仕事が間に合わなくなってしまいます。
ただでさえ、厨房業務はハードで、夏は暑く冬は寒く、早出出勤もあり忙しいのに、この状況は虐待という位酷いのです。
スタッフが離職すればその給食会社のスタッフ数は減るので、他所の事業所からのヘルプが必要となり、一人当たりの業務量が増えてしまう為、更に長時間労働となってしまいます。
何でも給食委託会社やらせればよいというのは大きな間違い
ここまで酷い扱いを受けるのなら、委託業者が自らその事業所を断つのが賢明では?と思うことがあります。
委託会社は事業所からお金を頂いて厨房業務を任せられている以上、事業所側の意向をヒヤリングした上で、お客様に適した食事を責任持って提供していかなければなりません
が…事業所側はその委託会社を選択した以上、お付き合いも大切にしなくてはなりません。
寧ろ、賃金が低く決して条件が良いとは言えない中、忙しい思いをして働いている委託会社のスタッフに対する労いの気持ちを持つべきでしょう。
このモンスター職員の攻撃に施設や病院の最高責任者が加担するのであれば、委託会社のスタッフでなくとも、その職場を離れた方が心身共に健康を維持できるのではないでしょうか。
このような酷い事例を挙げましたが、事業所側は給食委託会社と契約を結ぶ時に、極端に厨房が不利になるような契約はするべきではないと思います。
事業所のトップがしっかりしなさすぎ…
ダメなトップの中には、食事の質が悪いと管理栄養士にせいにしたり、委託会社を蔑みます。
- 委託会社スタッフの食事オーダーミスが著しい
- 食事の味付けが不適切
- 厨房内が不衛生
これをいくら管理栄養士が注意しても言うことを聞かないもの。
委託会社側の責任者(栄養士)にカビだらけの排水溝や、ふき取り掃除が行われていない炊飯器を見せて
「こんな汚れたところで作った食事をあなたは食べたいと思うの?」
と尋ねたことがあったのですが、その栄養士はしかめっ面をするんですよ…
私が見てる前では掃除を徹底しているように見せかけるんだけど、委託会社の使っている休憩室はクモの巣が張って、そこら中綿埃で汚れているし床は髪の毛とゴミだらけ…
何度も注意しても改善されないから、掃除をしていないという証拠写真を委託会社の支店に送りましたよ!
それではこの問題に関して事業所のトップ(事務長)はどうなのかというと、一切知らん顔なんですね・・・
しかも、管理栄養士は栄養部門の統括者とはいうものの、委託会社に対して全て権限を持っているわけではないのですよ。
事業所側の管理栄養士が決して自分の我儘を押し付けているわけではないのに、委託会社は一切これに応答しようとしない。
トップに立つ者がこのような不祥事に対して一切働きをかけずにその責任を全て自分の部下である管理栄養士に擦り付ける…
酷い話ですよ。。。
事業所のトップが運営方針をしっかり握っているのなら、本来このようなことはないのです。
運営方針が明確であることはその事業所の経営に熱意があることでもあります。
その熱意を従業員に示し、お金を払っている委託会社に忠実に業務を行うように働きかけて、お客様にしわ寄せが来ないように常日頃対処しているわけですから。
思うようにいかないと部下のせいにする…これは社長失格じゃあないですかあ??
経営方法によっては食事を重要視する場合も
委託会社を契約する時に1日あたりの給食費が設定されます。
特に病院においてはDPC加算の導入がないと、各部門の収入の範囲でサービス提供を行う場合があります。。
栄養部門の収入範囲で行うとなると、委託会社の管理費や給食費の他にかけられるものが殆どなくなってしまいます。。
その為「予算がかかるから栄養補助食品を活用出来ない」という事態を招いてしまいます。
これが原因で必ずしも委託会社がブラックな状態に追い込まれるわけではないですが…
食事内容や栄養管理(栄養補助食品)にお金をかけることによって病院の人件費や薬剤費を抑えつつ、浮いた費用を給食費にかけるという予算配分を行って食事の質を上げている病院も実際にはあるのです。
厨房の人間関係が良くない場合は委託会社を恨む前に…
実際のところ、委託会社は従業員の労働環境について改善できるように考えてくれています。
例えば同じ事業所内に不仲なパートスタッフがいる場合はシフトの組み方で顔を合わせないような勤務シフトを考えてくれています。
もし、委託している事業所が働きづらいのであれば、移動を申し立てることも可能です。
委託会社を恨んでブラック企業呼ばわりせず、上司に相談をしてみて自分が働きやすい環境をつくるのも賢明な選択の一つです。
まとめ
管理栄養士が100%委託会社の栄養士をいびっているのかというと、決してそうではないのです。
病院や事業所の内情も結構複雑なものです。
厨房は他の部署から離れていて聖域のようにも捉えられやすいですが、その狭い領域の中でバトルが繰り広げられているのも確かなもの。
中には委託会社のスタッフをいびる管理栄養士もいるかもしれませんが、根本的には事業所の運営方針に左右されるものであり、事業所側に理不尽があれば事業所と委託会社の溝は深まるばかりです。
委託会社をマウントするのはトップに立つ者として論外ですが、委託会社にお金を払って業務を委託することを選んでいるのは事業所の長なのです。
委託会社の不祥事をほったらかしにしていれば、委託会社からすれば儲けたもの。
その曖昧な経営方針が色んな人を犠牲にしているのです。
そんな職場、おかしくね?って思いますよね。
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