まず、今働いている職場を辞めると決心しているのなら、退職を申し出るのは常識ですね。
退職を申し出るなら口頭よりも書面、そして「退職願」ではなく「退職届」を出しましょう。
退職願いは会社側の合意があって退職希望を認められるものです。なので、うっかり「退職願」で出してしまい、「会社が退職差し止めという労働基準法違反を犯した」としても、退職を申し出た貴方に落ち度があるものとされてしまいます。
一方「退職届」は会社を辞める事を自分から意思表示する文書です。退職の意思が固まっているのなら、退職届という形ではっきり申し出ましょう。
退職届の他に「辞表」があります。辞表とは委任契約している者が退職の意を申し出る際に提出するもので、社長や役員といった管理的な立場の者が用います。管理職であれば別ですが、特に職位が高くないのであれば「退職届」を出しましょう。
退職を円滑にするには最低2週間以上前に申し出ること
正職員として採用されている場合は、雇用の期間の定めがないので希望する時に退職を申し出ることが出来ます。
つまり、退職する2週間以上前に申し出れば退職が成立することであり、これは民法で述べられています。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。
引用元…民法(明治二十九年法律第八十九号)
このように退職を円満に行うのなら、最低でも2週間前には退職届を出して「退職の意」をはっきり示します。
なので、本当に退職したければ「退職願」で申し出ないようにしましょう。
退職するのなら有給休暇は徹底的に消化!
有給休暇はリフレッシュを目的として与えられているものであり、従業員が有給休暇を使うことを会社が拒否する権利はありません。
第三十九条
使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
引用元…労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)
当然ながら、退職時における有給休暇も拒否する権利はないのです。
ただ、こちらの方でも阻止されないための対策は必要です。
やはり、退職届を出すタイミングは守るべきですし、後任者が安心して引き継げるように引継ぎ又は引き継ぎ書を残しておきましょう。
会社そのものがコンプライアンスが低い場合もありますので、有給届の記録のコピーは残しておきましょう。
万が一、有給届を拒否された時に証拠として残すことが出来ます。
その場合は労働基準監督署に足を運び、直接相談をして是正勧告してみましょう。
一番やってはいけない退職方法
退職時にやってはいけないことは「突然会社に来なくなる」ことです。
そしてその退職者の所に電話連絡をしても連絡が繋がらなくなると、会社の方としてもどうしたら良いのか分からなくなります。
突然来なくなって電話が繋がらないということは、その人の身に何かあったのでは…?と、普通だったら会社側は「非常識だ」と非難するより、その方の身の安全の方を心配します。
いくら連絡を取ろうとしても連絡が繋がらないとなると、やむを得ず解雇するしかありません。
これで在職期間が長く社員で働いていた場合、懲戒解雇として扱われる可能性もあります。
退職トラブル
しかし、退職の意を伝えても円滑にいかない場合があります。
次の勤め先に内定を頂いているにも関わらず退職差し止めに遭ったり、退職を1ヶ月以上に申し出たのに「遅すぎる!」と怒鳴りつけられることもあります。
中には会社の就業規則に基づいて退職を申し出ているにも関わらず「自分で勝手に希望退職を決めて退職を申し出るのは勝手だ。こちらで希望する日に退職してもらう。」というイミフなことを言ってくる会社もあります。
もし、希望退職日に退職出来ないとの旨を伝えられたら・・・
本来、これって有り得ないことですが、実際にあった話なのでアドバイスとして掲載します。
私はその会社に勤めてから短い期間にて退職を申し出ました。そしてこの時は試用期間中でした。
その会社では退職を希望する時には遅くとも2週間前には退職を申し出るというきまりとなっています。今までの経験上、円滑に退職するには1ヶ月以上の余裕を見るのが良いと思い、確実に1ヶ月以上前を見て退職を申し出ました。
その後、その会社の代表に呼ばれてネチネチ…くどくど…と言われた挙句、こんなちんぶんかんぷんな事を言ってきました。
試用期間中の半年間は貴方の仕事ぶりを観察してこの会社の社員として適性かどうかを確認して正式に社員にするかどうかを判断する期間であるが、試用期間中の退職は正式に社員として登用されているのと訳が違う。
貴方のように日付を指定して退職されると円滑にいかない場合があるので、退職する日はこちがから指定していただくかどうかは本部に確認して、円満に退職出来るように話し合う。
退職日を会社が決めるって何事…?
その次の日が丁度公休だったので、会社を管轄する労働基準監督署に相談をしました。勿論、事業所名は晒しましたよ(笑)
そこ答えは…
「それはひょっとしたら解雇かもしれないよ!解雇だったら1週間前に勧告があって解雇予告手当も出る筈ですよ。自分の希望日に退職したいことを会社にはっきり伝えなさい」
とのことでした。
ただ、その会社の代表は何でも「本部の人間の言いなり」だったので、本部の人事課に「退職を申し出たのに解雇の勧告もなく解雇ってどういうことですか?こっちだって予定を考えて退職を申し出ているのに、勝手に退職日を決められるのは困る!」と言って相談しましたが…「お待ちください」との回答。。。
本部には「パワハラ相談窓口」もあったので、そこにも電話をかけました。
これで、話は一件落着したので良かったのですが。。。
もし、「退職日を会社が決める」なんて話があった時は、解雇を疑って「解雇予告手当」の件について突っ込みを入れると良いのかもしれません。
会社(病院、施設等)のコンプライアンスが余りにもひどい場合は…
会社の環境が非常に劣悪で退職届を出しても受理してもらえない、上司のパワハラが酷すぎて退職を申し出ることが出来ない、引き止めがあまりにもしつこすぎるのなら、退職代行サービスを活用するのも一つの手です。
特にコンプライアンス違反が著しい場合は、弁護士が運営する退職代行サービスを活用すると会社に搾取されていた残業代や休日出勤手当を請求してもらえる場合があります。
着手金がかかる上にオプション費用として上乗せされるので金額が嵩むかもしれませんが、被害額の支払いによって却って回収される場合もあります。
ブラック企業なら、寧ろ退職代行サービスを活用した方が賢明ですよ。
まとめ
退職のことぐらい、本人が片づける問題かと思いますが、世の中、カルト宗教のような悪質かつ強かな会社もあります。
あまりにも会社側がしつこく、何を言っても退職を認めてくれないのなら退職代行を用いるのも一手です。
但し、退職代行は労働基準法が関わるもの!
多少お金はかかりますが、法律に適った筋を通した退職を貫くためにも専門家の力の借りる方が安心です。