栄養士あるある部屋 PR

介護食品は値段が高いけど導入したい!そのメリットとデメリットとは?

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

咀嚼、嚥下が低下した方のための介護用食品(ソフト食、ムース食)のバリエーションは次々と増えてきています。

料理の見た目良くなるし、キザミやペーストにする手間も省けるから導入したいと切実に思うところですが…

躊躇する原因として上げられるのは…

値段が高いこと。

でも、介護用食品を使用することは、本当に栄養部門を赤字に傾けてしまうことなのでしょうか??





 

ムース食は食材費のみで考えると確かに値段が高い


病院や施設の食材費は、1日あたり600円代から700円位を設定しているところが多いのではないのでしょうか?

確かに、キザミ食やペースト食を介護用食品に変えるとなると、確かに食材費が跳ねあがってしまいます。

恐らく1日あたり900円は行ってしまうでしょう…

特に給食業務を委託していると、委託会社にどんなに説得しても「お金がかかるから導入したくない」と頑なに断られるというのが現実です。
 

ソフト食はキザミ食よりメリットが多い


かつては咀嚼力が弱った人の食事は刻んで提供することが定番でした。

しかし、キザミ食はデメリットが多いことが知られ、それからソフト食が開発されて一部の施設では導入し始めているところも出てきました。

ソフト食のレシピも数々のものがありますが、ソフト食はゼラチンやはんぺん、とろろなどを用いて普段の料理を原型を留めつつ軟らかく仕上げます。

確かに見た目も良いし口腔残渣が残りにくく安全に食べられたり、喫食率の上昇にも繋がったことから、キザミ食よりソフト食の方がメリットが多いのが明らかです。

手間を考えるとキザミと調理の行程を逆算したものと考えられますが、ソフト食を調理する際のレシピの作成や調理員の意識改革も必要となります。

ましてや、古狸の調理員だと以前より大変な仕事は担いたくないことから、頭ごなしに屁理屈を叩いて頑なに拒否されます。

実際に…

  • 食事の見た目が改善された
  • 見た目が良いので食欲増進に繋がる
  • 食事が食べやすく、喫食時間の短縮に繋がる
  • 嚥下の観点において安全
  • 残食量の減少

確かにこのような成果を残しているのです。
 

キザミ食はデメリットが多い!


キザミ食はデメリットが多いのは確かです。

食事を食べる身となった時、キザミ食を出されたらどう思いますか?

嫌ですよね?

確かに見た目は良くありません。

しかし、キザミ食のデメリットはこれだけではありません。

  • 厨房オペレーションが非効率で不衛生
  • 口腔残渣として残りやすく、口腔内に雑菌が増えてしまう
  • 菌や残渣が誤って肺に入ると肺炎に至ってしまう

その中でも

  • 不衛生
  • 口腔残渣として残りやすく、口腔内に雑菌が増えてしまう
  • 菌や残渣が誤って肺に入ると肺炎に至ってしまう

これらの項目は患者様や利用者様に深刻な事態を引き起こしてしまいます。




 

厨房オペレーションの観点から…


厨房業務の中でも一番激務なのは調理業務です。

常に火の元で仕事をしているので、年中汗だくです。

病院や施設は料理が出来上がれば盛り付けて配膳だけでは済まされません…というのは、経験者なら分かっていることですよね。

料理が出来上がった後に一つ一つ盛り付ける作業も時間を要する上に、盛り付け作業の前にキザミやペーストという行程があります。

事業所によってはキザミが何段階かに分けたり、摂食嚥下リハ学会の嚥下ピラミッドに基づいてペースト食を二段階に分けて提供しているケースもあります。

今の超高齢化社会というご時世の中、キザミやペースト食のオーダーが20年前よりも遥かに多くなり、厨房業務の作業時間の中でもミキサーやプロセッサーにかける時間はウェイトを占めるようになってきています。

これが主菜であれば、メイン料理の他に付け合わせも刻んだりミキサーにかけたりします。

メイン料理と付け合わせが2品付く場合は、その料理に対し少なくとも3回はプロセッサーやミキサーを使う行程があります。

つまり、このような行程となるのです。

主菜を刻む作業

調理
主菜をプロセッサーにかけて刻む
プロセッサーを洗浄する
付け合わせをプロセッサーにかけて刻む
プロセッサーを洗浄する
付け合わせをプロセッサーにかけて刻む
プロセッサーを洗浄する
盛り付ける

 

食事を提供される側は「こんな汚いもの出しやがって!」となりますが…

苦労の挙句、見た目の良くない食事を出してしまう上に、こんな行程を知ったら余計に食欲が失せてしまうような…

しかし、給食委託会社は何かと衛生管理にかこつけます。

衛生管理を主張しながら、やっていることは不衛生…

結局「利益」なんでしょう。。。
 

加工食品の価格には手間賃が含まれる


それでは、ムース食が何故値段が高いのかと言いますと?

原材料を加工するための人件費がかかっている

普段、業者に何か作業を依頼する時は、何等かの形で手間賃を取られている筈です。

それはムース食にとっても然りなのです。

刻む、ミキサーにする、半固形状にする…といった作業を、厨房スタッフに代わってメーカーが行っているということになります。

ムース食による作業の軽減は、時間の無駄を省くことにも繋がります。

余計な手間をカットするということは、人件費を押さえることにもなるのです。

つまり、厨房スタッフの人件費をムース食製造のための人件費割り当てると考えると、決してムース食はメーカーのぼったくりではないのです。

この業界の深刻な問題の一つとして「マンパワー不足」が挙げられます。

給食委託会社でも「マンパワー不足」の問題は日常茶飯事であり、いっそのことムース食を導入した上で契約すればいいんじゃないの?と思ったことが幾度とありました。

給食委託会社に支払う管理費の中でも一番ウェイトを占めているのが「従業員」の人件費です。

これは契約時の事業所側からすれば、出来るだけ管理費は安く抑えたいという考えがあります。

委託会社では、事業所から支払われる管理費の中で金銭管理を行っていく為、その中から利益をいかに出すのかやり繰りします。

管理費の中で栄養士を複数配置することが困難なことや、栄養士は一人いればいいという考えがあることから…

パートスタッフを無駄に配置しているケースもあるのです。

厨房業務は午前中は非常に忙しいのですが、午後は比較的時間に余裕があります。

食数が50食ほどあれば遅番二人体制というのも分かるのですが、食数が20~30食だと遅番二人も要らなくね?って思うんですね…

実際このような人数体制に事業所にてあったことですが、厨房から何の音もしない時間帯があるのです…

通常、何かしら作業していれば音があるんですけどね。。。

実際厨房を見ると二人とも突っ立っているだけなんです。

委託会社は何かと「お金がかかるから」という理由で「出来ない」を貫いているので、散々「人件費をカットしたら?」と言ったことがありましたよ。

それはそれで「他の事業所はもっと人数が少ないのに遅番は二人配置している」と。

自分達の従業員を守るために必死になっているのかもしれませんがね。
 

ムース食の経済効果


しかし、キザミやペーストの手間を省くことは、余計な人件費の削減の他にもランニングコストのカットにも繋がるのです。

ミキサーやプロセッサーの使用頻度が少なくなれば、使用時の電気代や洗浄時の水道料金、ガス代の節約にもなります。(微々たるものですが…)

これらの機械は使用頻度が多ければ多いほど寿命を縮めます。

ミキサーやフードプロセッサーだってそれなりにお金がかかるもの。

購入頻度が増えれば、コストもかかります。

容量によって価格の違いがあるものの、何十万とかかるものです。

つまり、ムース食の使用することは代わりにこれらのコストを抑えることにもなるのです。

  • 人件費
  • 水道光熱費
  • 機械の購入価格

 

キザミ食が起こす深刻な事態


キザミ食は咀嚼力低下の為の食事というのは、とっくの昔の話。

特に原型が硬い食品は、嚙み切れない上に口腔内に残りやすくなります。

咀嚼力があれば食塊形成(食物を咀嚼して唾液と混ぜ合わせることによって粘度状にする)が出来ますが、咀嚼力が低下すれば食塊形成も困難となります。

病院や施設では食事の度に口腔ケアを行っているのかというと、必ずしもそうではありません。

医療現場や介護現場も激務ですから…

その残渣は日にちが経つにつれ、どうなることか想像出来るでしょう。

その残渣物は、ふとある時に誤飲して肺に入ってしまうことがあります。

また、食塊形成されずに飲み込まれた食物が誤って気管に入る場合があります。

食物を咳反射によって排出出来れば取り留められるのですが、排出する力が弱まると食物は肺に滞留したままとなります。

この状況を引き起こしてしまうと肺炎を起こしてしまい、度々発熱などの症状を呈してしまいます。

肺炎を起こすということは炎症を起こすということであり、身体は炎症を起こすと栄養状態も悪化します。

肺炎を起せば絶食となってしまい、これを何度も繰り返すうちに「口から食べられなくなる」「衰弱する」という結果を招いてしまいます。




 

分かっているけど…


それにも関わらず、キザミ食を提供している病院や施設はまだまだ沢山あります。

でも、管理栄養士は「本当は良くない」ことを分かっているんですよ…

これには周りに取り巻く柵の問題があり、「委託会社にムース食の使用を拒まれる」「管理者に理解を得られない」ことによって、しぶしぶ現状を維持しているのです。

しかし、これを患者様や利用者様を虐待していると一方的に言われても、大変困るものなのです。
 

ムース食は確かに嚥下しやすい


ムース食の試食は過去に何度か行ったことがありますが、舌で潰せば飲み込めてしまいます。

一方キザミ食は、そのまま飲み込めません。

実際、ペースト食とムース食を用いてどっちが食べやすいか試したことがありましたが、ムース食を用いた方が患者様の食事の進みが円滑でした。

実際…

  • 見た目が良く患者様が喜んでくれた(顔の表情が嬉しそうだった)
  • 喫食時間が短縮された
  • 喫食率が良い
  • 飲み込みやすい

患者様からしたらメリットばかりです。

このような商品は咀嚼嚥下困難な方をよく研究した上で製造されているので、かなり誤嚥のリスクが低いことが考えられます。
 

結局ムース食(介護用食品)は導入した方がお得なのか?


これまでの話をトータルします。

介護用食品を導入するメリット

  • 見た目が良い
  • 衛生的
  • 厨房オペレーションの効率化を図れる
  • ランニングコストの節約
  • 喫食時間の短縮
  • 喫食率が良い
  • 飲み込みやすい
  • 肺炎のリスクが抑えられる
  • 肺炎のリスクが抑えられる為、治療費が抑えられる

介護用食品を導入するデメリット

  • 商品そのものが高い

デメリットと言えば値段が高いことです。

しかし、介護用食品の導入は、金銭的なメリットもあります。

  • 厨房スタッフの人件費の削減
  • 水道光熱費の節約
  • 機械の購入頻度を減らすことが出来る
  • 肺炎のリスクが抑えられる為、治療費が抑えられる

つまり、介護用食品を使ったからといって、事業所そのもののランニングコストが一気に上がるわけでもないのです。

更に次のようなメリットがあります。

  • 栄養成分の強化されたものも開発されており、プロテインを使用するより寧ろ経済的
  • 主菜(肉や魚の介護用食品)は切り身を使うより安く抑えられる

肉や魚のムース食は案外安いのですよ!

確かに副菜までムース食と言うとコストが跳ねあがるのですが、料理の中で一番がかかるのはメインディッシュであって、副菜はムース食の素でざっくり盛り付けすればいい話。

その一方で注意点もあります。

  • ムース食はカビが生えやすい。

つまり、解凍したら速やかに使わないとロスを発生させてしまうということです。
 

まとめ

キザミ食やペースト食を提供するのなら、いっそのこと介護用食品を用いた方が明らかにメリットが多いです。

しかし、上司(管理者)にいくら説得しても全然話を聞いてもらえないと切なくなりますよね…

そもそも、そのような管理者はお客様のことなど鼻から考えていませんから!

脳みその中は「金」と「利益」と「我儘」だけ!

経営方針という根本的なところが変わらない限り、「お客様を無視した経営」は改善される見込みはないでしょう…

 



B!

 



COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です