日常生活の中でも一番の楽しみと言えば食べること
勤務中においても一番楽しみなのは食事ですし、何処か旅行に出かける際も食事は楽しみの一環となりますよね!
施設や病院の厨房を業務委託されていると、「食事が美味しくない」という理由で契約を切られてしまうことがあります。
そりゃね、病院や施設からしたら、委託会社の対応があまりにも粗末だと痺れを切らすものだよ…
これじゃ患者さんの栄養状態が更に悪化するわ…
病院や施設が美味しくない理由は栄養士の立てる献立が悪いというのは本当なのでしょうか?
施設の食事は確かに不評…
入院されている患者様、施設に入所されている利用者様は、生活が単調になりやすいです。
その為、一層食事が楽しみになります。
しかし、施設の食事はあまり美味しくないとの評判です。
この原因を栄養士がたてる献立が悪いから食事が美味しくないとよく分析されます。
ところが、このような施設では給食会社が施設の厨房を借りて給食業務全般を行う方式をとっているケースが殆どです。
病院、老人福祉施設、学校給食、保育園…といったカテゴリーの中でも、老人福祉施設が一番給食会社による給食業務を委託している割合が一番多いのです。
給食会社は複数の会社がありますが、施設によって同じ委託会社が入っていることがあります。
そして献立は契約内容によっては施設側の管理栄養士が作成する場合と給食会社が独自に作成している場合があります。
委託会社で作成している場合、同じ会社が入っている事業所は原則同じ献立となります。
ただ、その施設ごとに利用者の様好みや地域性、年齢層が異なるので、これに関しては施設の管理栄養士の意見を踏まえた上で献立に修正を加えています。
だからといって、施設によって極端にメニューが違うというわけでもありません。
会社が違えば献立作成を担当する人間も当然違うので、作成した人の個性が表れるのは当然です。
勿論、施設の管理栄養士が作成している場合はその人の特性が表れることはあります。
ただ、奇抜な献立を作成する人は滅多にいないでしょう。
ある事業所では中華料理のフルコースのようなメニューで、ある事業所はベトナム料理店で出てくるようなメニューというように、献立内容が事業所によって極端に違うということもありません。
施設の食事が美味しいと言われるようになるには?
ところが、給食会社に給食業務を委託している施設なのに「食事が美味しい」と評判の施設もあります。
これは前述したように、他の事業所と献立内容が極端に違うからなのではありません。
至って献立内容はオーソドックスです。
調理師の腕前や意識の違い
食事が美味しいかどうかは、病院や施設に所属する調理師によって左右されます。
委託会社を変えたばかりのころは、本社や支店に所属する調理師が現場に入って調理するため、質の良い料理が提供されます。
しかし、本社や支店に所属するインストラクター級の調理師が在籍する期間は長くても3ヶ月。
その後、所属する調理師が何度か移動によって入れ替わります。
最初のうちは腕の良い調理師が配属されるのですが、度重なる入れ替わりによって意識低い系の調理師が配属されてしまいます。
意識低い系の調理師が配属されると、管理栄養士と委託会社との連携が上手くいかなくなります。
ただ、給食委託会社のスタッフは調理場で業務を行うというのが日常そのもの。
衛生管理の観点からフロアーに顔を出せないと言うのもありますが、裏方で料理を作るという認識を大半の人が持っています。
食事の美味しい施設は何が違うのか?
「食事が美味しい」との評判がある施設は、調理師の「ある行動」によって「良い評判」に繋がっているのです。
その調理師は食事の時間になると利用者様の食事の様子を見に行き、料理の仕上がりについて尋ねています。
褒められれば励みになりますし、口に合わなければ利用者様の意見のもとに調理方法や味付けの改良を行うのです。
また、味付けだけではなくて、利用者様の咀嚼機能、つまり自分が作った料理が安全に食べられているかどうかも確認することも出来るのです。
もし、硬くて食べづらい、パサパサするというようなことも見られたら、調理方法を一工夫して改善に努めるのです。
そういう一つ一つの努力が顧客満足へと繋がっていくのです。
その結果、「ここの施設の食事は美味しい」という評判を得られるのです。
調理(フードサービス)は間接的な対人業務
実は調理業務は立派な対人業務なのであります。
厨房の奥で直接利用者様とコミュニケーションを取らずに業務を行っているように見えますが、実は作った人の心が以外に料理の仕上がりに現れるのです。
料理の得意不得意に個人差はありますが、心を込めて作った料理には優しさを感じます。
それとは対照的に「忙しいから面倒くさいことはやってられない」思いで作れば、おのずと雑に仕上がってしまいます。
そして調理業務は裏方だから、利用者様の声を聞くことは自分の業務とは関係ないと考えて調理をした人の料理も雑で思い遣りを感じられません。
更に食事の内容が不評だと聞いた時、臍を曲げたり、自分に要因を求めず「献立が悪いから美味しいものが提供できない」と責任転嫁してはプロ失格です。
厨房部門に設備投資がなされている
病院や施設の食事が不味いと言われる理由としてここは大きいところです。
現在、厨房設備の進化が大きくなされています。
スチームコンベクションオーブンが設置されているのが当たり前な位です。
厨房設備の進化…でも購入してもらえないという悩みも
従来、食事の提供方法はクックサーブ式で行われてきました。
クックサーブ方式は、病院や施設のように集団給食で尚且つ個別に食事を盛り付けて提供する方法を行っていると、全ての料理を適温で提供することが困難になります。
この設備では限界があるし…
いくら保温食器を使って出来るだけ配膳時間ギリギリで盛り付けを行っても、患者様や利用者様に届くころには食事が冷めてしまい、この問題を解決したいと悩む厨房スタッフは大勢います。
食数が多い事業所程、この問題は深刻です。
その悩みに応えるためにクックチル方式が開発されました。
そのクックチル方式にも欠点があることから、更にニュークックチルシステム方式が開発されています。
ニュークックチル方式は、一度調理した料理を冷却し、提供時になったら盛り付け作業を行います。
それから加熱調理を行う為、作業段取りも大きく効率的となり、温かいものは温かい状態で患者様や利用者様のところに食事が行き届きます。
同じ料理でも食事が温かいか冷めているかで味に大きな違いが出てくるものです。
しかし設備が不十分で、いくら厨房スタッフが最善を尽くして食事提供をしても…
温冷配膳車のように食事を直前で温める設備がないのであれば、厨房スタッフをいくら攻めたところで何の解決にもなりません。
- お客様のこと全然考えていない
- 上司を説得しないお前が悪い
- お前の能力不足だ
文句を言うことは簡単です。
うどん一つをとっても、温かい状態で提供出来れば温かくて柔らかいうどんを提供することが可能となりますが、麺類は冷めるとグルテンによって固まってしまい、麺そのものがくっついてしまいます。
この件について難癖付けてくる職員がいるのも事実ですが、物理的要因によるものなので暴言を吐いたところで生まれるものはなにもありません。
栄養士や調理師が決して故意的にやっていることではないからです。
こっちは温かいものを提供できるように努力しているのに…
https://nayamerueiyoushi.info/iryoukaigotensyoku/
https://nayamerueiyoushi.info/careena-review/
厨房機器はお金がかかるものです。
管理者を説得するのなら、「節約」という説得材料を用意して、「食事の質の向上を図りたい」旨を話しましょう。
は?
そんなの知らねえよ!
そんな返答を寄越すのなら、その上司は明らかにクズ上司です。
なんせ、頭の中は利益のことしかありませんから…
事業所によっては「食事を美味しく提供したい」と考えを持っているところもある
ここはやはり管理者がしっかり考えを持っているかで左右されます。
このような管理者の中には「美味しい食事を提供したい」ことにこだわっている人もいます。
食事の質を上げたいことから敢えて直営方式で運営を行い、生鮮食品を用いたり、可能な限り手作りのものを提供するようにしています。
衛生管理はどうなの?…と思いますが、給食委託会社=衛生管理が徹底しているわけでもないですよね?
勿論このような優秀な管理者に向かって「何でも購入してほしい」は通用しませんが、合理的判断に基づいて食事の質の向上を図るために設備投資してほしいことを持ち掛ければ、動いてくれる可能性はあるでしょう。
でも、いくら設備投資をして新鮮な原材料を用いて調理をしたところで、そこで働くスタッフの質が悪いと台無しになってしまいます。
設備投資もなされ、使用食材の鮮度も良く、働くスタッフの質が高い…
切実ですね…
モンスターはスルーすること!
社会人、つまり心も成熟した大人になるということは、サービスを提供する対象者(ここでは施設の利用者様)の気持ちを第一に考えて行動することです。
怒られるか褒められるかの他人からの評価を気にしているうちは、まだ精神的に学生気分(未成年)を卒業していないのです。
また、施設のスタッフの中には食事に関して理不尽ないちゃもんを付けてくるモンスター職員もいます。
人間は間違いを起こして当たり前の生き物です。
そのような人の揚げ足をとるような輩は、自ら破滅の道を選んでいるだけなので、「未熟者」だと思ってほっとくのが良いでしょう。
まとめ ~料理は心~
施設は利用者様にとって終の棲家です。
人生の最期をどう過ごしたいのかは人それぞれの思いがあります。利用者の声(心)に耳を傾け、人生の最期かもしれない場所で食事提供するにあたり、相手とって出来るだけ最善なものをを提供してあげたい心は相手の尊厳を保持するに等しい行動です。
それは相手の個人的な我儘によって周囲を振りわすことではなく、思い出や愛情など、純粋なるものから湧き上がるものではないでしょうか。
厨房スタッフから出来ることは、見た目も味も良く、愛情を込めた食事を提供することが手一杯ですが、利用者様にとって食事は一番の楽しみであり、心が籠っていれば利用者様にその思いは届く筈です。
相手の尊厳の為に自分の誠意を尽くすことは決して無駄なことではありません。